本シリーズでは、「適性検査」(性格診断)を用いて、「高評価者」を採用時点で見分けることにチャレンジしています。
ただ今回は、少し視点を変えて、そもそも「高評価」になる要素を考えるべく
「上司と部下の相性は「評価」に影響をあたえるか?」
という課題について考えてみます。
※関連記事は「適性検査に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。
会社では公平な評価は行われているのか?
評価(人事考課)はどのように決まっていますか?
直属の上司(評価者)が1次評価した後、評価者が集まって評価者間で差が出ないように調整しています。
上司と部下の性格の一致・不一致によって、評価が変わることはないですか?
「上司」と「部下」の組み合わせで、パフォーマンス(=評価)が変わる可能性がないとは言い切れないかもしれません…
「評価はできる限り公平に…」しているつもりですが、評価をする人もまた人間。仕組み化しても、どうしても主観的な部分は残ってしまうのが評価の難しさです。
そこで今回は、
上司と部下の「性格の一致率」は「評価」にどの程度影響を与えているのか?
について実際のデータを使って検証したいと思います。
「適性検査の一致率」と「評価」の関係性(中途の場合)
早速、今回のコンサルティング対象企業(ビジネス系職種)の「適性検査」のデータ分析をしてみます。
今回は、上司と部下の適性検査の「一致率」(0~100%)を計算し、「一致率」と「実際の評価」の分布をみてみました。
まず、中途の場合です。
結果をみると、
・「一致率」が100%から60%に“減る”につれ、「平均評価が高まる」
・「一致率」が「60%以下」だと「平均評価は低い」
という傾向が読み取れます。
これは、
「上司との性格の一致率」と「平均評価」には関係性がある
ことを示しています。
特に「中途」の場合には、
上司との性格が「近すぎず、また、遠すぎない人」がもっとも評価が高い
ことがわかりました。
「適性検査の一致率」と「評価」の関係性(新卒の場合)
同様に新卒の場合の結果を見てみます。
結果を見ると、中途とは異なり、
・一致率が「80~90%」または「60%以下」だと評価が高まる
ということが読み取れます。
ちなみに「60%以下」で高い評価を新卒につけている人が2人いたのですが、2人とも「執行役員」でした。そのため「60%以下」は少し例外的なのかもしれません。
この結果を解釈すると「新卒」の場合
「上司と似ている方が評価が高い」(ただし似すぎていると評価が厳しくなる)
ということがわかりました。
まとめ
今回わかったことは、
上司との性格の相性は評価に大きく影響する!
ということです。
一方、「評価」が「パフォーマンス」を正確に表しているとすると、
上司との性格の相性を考慮するとパフォーマンスを向上させることができる
と言えるのかもしれません。
皆様の会社では、人員配置を決める際に「適性検査」を活用されていますか?「配置」は「採用」と比較すると定量的に捉えにくい領域だと感じておりますが、ぜひ「配置」についてのお考えを聞かせていただけると嬉しいです。
※執筆者:塚本鋭
東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所にコンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。