採用基準を決める際に
自社のハイパフォーマーを分析して、共通する特徴を抽出する(=ハイパフォーマーに似た人を採用する)
という方法を用いている企業が散見されます。
一方、「ハイパフォーマーの特徴を採用基準にしても、ハイパフォーマーは採用できない」(ことが多い)という事実はあまり知られていません。
本記事では、採用基準の作り方の注意点を解説します。
ハイパフォーマーの共通特徴を見ても無駄?
実際の100名の企業において、ハイパフォーマーの特徴を可視化します。
定量化できる特徴は、「面接結果」「スキル」「コンピテンシー」などがありますが、今回はわかりやすさのために「適性検査」を用います。
ハイパフォーマーの適性検査の結果を分析すると、以下のグラフのように【大胆さ】と【達成意欲】が高いことがわかりました。
この結果から、「ハイパフォーマーを採用するためには、【大胆さ】と【達成意欲】が高い人を採用すればよい!」としてしまうと、実は間違えた意思決定になってしまうことがあります。
【大胆さ】と【達成意欲】が一定上であることを採用基準にしたとしても、調べてみると、以下のように、ほとんどハイパフォーマーの割合は変わりません。
そのため、「ハイパフォーマーの特徴を採用基準にしても、ハイパフォーマーの採用確率はほぼ変わらない」ことがわかります。
見るべきは、ハイパフォーマーとローパフォーマーの“差分”
では、どのように採用基準を作ればよいのか? という疑問を解消するには、「ハイパフォーマー」と「ローパフォーマー」の差に注目する必要があります。
例えば、先ほどのハイパフォーマーのデータに、ローパフォーマーのデータを重ねてみると、実は【達成意欲】は、あまり差がないことがわかります。
※一般的には「【達成意欲】が高いほうがよい!」と考えられていますが、実際にデータを見てみると、ローパフォーマーも高い場合も多いです。
「ハイパフォーマーとローパフォーマーの差の大きさ」の順に指標を並べ替えると、以下のように【鈍感力】と【自信】には、ハイパフォーマーとローパフォーマーで大きな差があることがわかります。
【鈍感力】と【自信】を、一定上であることを採用基準にすると、ハイパフォーマーの特徴(「達成意欲」と「大胆」)を採用基準にした場合と比較して、より高確率でハイパフォーマーを採用できることがわかります。
より精度を高めるには、指標の組み合わせに注目する
とはいえ、先ほどの分析ではハイパフォーマーの確率は「1.3倍」にしかなりませんでした。もちろん、利用しないよりはよいのですが、もっと精度を高めたいとも感じます。
さらにハイパフォーマーの予測精度を高めるためには、指標の組み合わせを考慮します。実は、組み合わせまで考慮すると、【鈍感力】【活動】【懐疑性】【外向】の4つを組み合わせると、よりパイパフォーマーの見極め確率が高まることがわかっています。
※組み合わせは、網羅的に手動で分析してもよいですが、機械学習などの手法を使うと、工数少なく確認することが可能です。
まとめ
今回、「ハイパフォーマーの特徴を採用基準にしても、ハイパフォーマーは採用できない」事例を見てきました。
多くの企業が、間違えた指標を採用基準にしており、採用のミスマッチを引き起こしていると考えています。
この機会に、ぜひ採用基準を分析しなおしてみてはいかがでしょうか?
※執筆者:塚本鋭
東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所にコンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。
以下、PRです。
弊社が提供するアッテル(Attelu)では、様々なデータを取り込み「ハイパフォーマー」と「ローパフォーマー(退職者)」の特徴を比較分析し、採用基準に落とし込むことが可能です。(計算が面倒な“統計的有意差”などの検証も自動で可能)また作成した採用基準が、どれだけ当たるのかの検証もできます。
β版期間中1ヵ月無料でご利用いただけますので、こちら からお声がけくださいませ。
(アッテル(Attelu) の分析画面例)