今回は、過去の研究結果をもとに、
「面接でどの程度「入社後評価」を予測できるのか?」
という課題についてまとめてみます。
※関連記事は「適性検査に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。
採用を加速すると陥りがちな罠!?
調達が決まり人材採用を加速したのですが、入社後にパフォーマンスが上がらない人が出てしまって悩んでいます。
採用時にはどのよう面接をやっていますか?
書類選考と面接を3回しています。決まった型は作れていないですが、事業責任者と役員がしっかりと面接しています。
面接官が各自で質問項目や評価基準を考えているということでしょうか?
「採用人数」が少ない時は問題ないが、「採用人数」を増やすと入社した人のパフォーマンスにばらつきが出る…そんな経験をされている方も多いかもしれません。
「たくさんの人数を採用したから仕方ない!」とも考えられますが、原因は別のところにあるのかも?
今回は、過去の研究結果から、
「面接手法と入社後評価の関係性」
についてまとめます。
「普通の面接」で「入社後評価」を予測できる割合は【14%】
Google人事担当上級副社長のラズロ・ボック氏が書いた「ワーク・ルールズ!」(Work Rules)でも紹介されているのですが、1998年に Frank L. Schmidt と John E. Hunter が発表した研究論文では、「19個の面接手法が、採用後のパフォーマンスをどれだけ予測できるか」という結果が示されています。
※結果は一部抜粋
「決定係数」という指標は、それぞれの面接手法がどれだけ「入社後評価を説明できるか」を数値化したものです。例えば、「一般認識能力テスト」は、採用後の評価を「26%予測できる」という結果を示しています。
この研究結果によると、「一般的な面談(非構造化面接)」は、「採用後の評価」の「14%」しか予測できないという結果が出ています。
「人数が少ない時は問題なかった!」理由とは?
数値モデルで分析した結果(前回記事 ※長文注意)、普通の面接を行うと
・4回選考すると、(入社後)高評価の人が61%
・8回選考すると、(入社後)高評価の人が98%
という結果がでています。
これは仮説ですが、「人数が少ない時」には、「色々な社員と会う機会」があり、それが選考として機能しており、自然と採用精度が高まっていたのかもしれません。(実際に私もこの経験をしており、非常に後悔しています。)
どうすれば「入社後評価の高い人」を採用できるのか?
前述の研究、また「ワーク・ルールズ」によると
- 「一般能力能力テスト」と他の「面接手法」を組み合わせると精度が上がる
- Googleでは「構造化面接」(一般能力テストの項目含む)を行なっている(かつ4回面談+3回の再評価を行う)
とされています。
解釈すると
「適切な手法を複数用いて、面談回数を増やせば、採用精度は上がる」
と言えるのかなと感じます。
ちなみに、前述の研究には「適性検査」については言及されていないのですが、次回の記事で「適性検査(性格診断)で入社後の評価の6割を予測できる」(=決定係数30%)可能性を説明しますので、興味があればぜひお読みください。
まとめ
今回、
- 「普通の面接」だけでは「入社後評価」は必ずしも高くならない
ことをまとめてみました。
資金調達を行い、一気に人材採用を加速されたご経験のある方は、どのように採用の課題をクリアされましたか?ぜひお話させていただけると嬉しく思います。
※執筆者:塚本鋭
東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所にコンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。