今回は
・「能力テスト」(適性検査)と「(入社後の)仕事の評価」の関係性
について、分析してみます。
「能力テスト」と「仕事の評価」は関係ある?
適性検査における「能力テスト」の点数が高いのに、仕事では低評価の人が多くて困っています。
「能力テスト」と「仕事の評価」の関係性を分析したことはありますか?
いえ、「能力テスト」が高い方が、仕事もできると思っていました。
「入社後に活躍する人を採用する」ために、「適性検査」を導入されている企業も多いかもしれません。
一方、
本当に「適性検査」が「入社後に活躍する人」を予測できているか?
については、意外と分析されていない企業が多いと感じています。
今回の結論としては、
「能力テストの点数」と「仕事の評価」には関係ない
※ただし、著しく点数が低い場合には、低評価になりやすい
可能性がある、と言えます。
以下で、3社の実際の企業データを見てみます。(全て別の適性検査のデータです)
1.100人規模
まず100人規模の会社において、「能力テスト」の点数と「入社後の仕事の評価」の関係性をみてみます。
※「仕事の評価」は(高評価/普通評価/低評価)の3段階に区分しています。
※「全体」の棒グラフには「標準誤差」をエラーバーで表示(以下同様)
結果、
・「高評価者」は「能力テスト」の平均が高い
・「低評価者」は「能力テスト」の平均が低い
という結果になりました。
ただし、この会社は学力を採用判断に一切反映していませんでした。
以下のデータは、「能力テスト」が「偏差値50未満」の人における、「仕事の評価」の内訳を示したグラフです。
グラフより
・「能力テスト」が「偏差値50未満」の場合、「低評価」の割合が高い
ことがわかります。
そこで、全体のデータに対して「偏差値50以上」に絞ると、「能力テスト」の点数と「入社後の仕事の評価」の関係は以下のようになります。
結果、この会社では
「偏差値50以上」の場合、「能力テスト」と「仕事の評価」に関係性はない
という結論になりました。
2.新卒50人
同様に、先ほどとは別の企業において「新卒50人」における 「能力テスト」の点数と「仕事の評価」(入社後1年)を見てみます。
グラフより
・「高評価者」も「低評価者」も「能力テスト」は「全体平均」を下回る
ことがわかります。
これは、新卒に求められる仕事の内容にも影響を受けている可能性はありますが、いずれにしても、
「新卒」において「能力テストの点数」と「入社後の仕事評価」に正の関係性はない
ということがわかります。
3.管理職300人
最後に、また別の企業において、管理職層300人の「能力テスト」の点数と「入社後の仕事の評価」の関係をみてみます。
グラフより、
「管理職」においても、「能力テスト」と「仕事の評価」の関係性はない
ということがわかります。
※ただし、平均値は「仕事の評価」に関係なく高いため、「能力テスト」が一定以上でないとそもそも「管理職」になれていない可能性もあるかとは感じました。
まとめ
今回は、
「能力テストの点数」と「仕事の評価」には関係ない
※ただし、著しく点数が低い場合には、低評価になりやすい
可能性があることを、データから確認しました。
今回のデータを見ると
「適性検査は使えない??」
という疑問をいただかれる方もいるかと思います。
一方、「適性検査」を適切に利用することで、「入社後の仕事の評価」を予測することができる事例もあるため、「適性検査の選び方・使い方」が重要だと考えています。
※今回の分析は、詳細を公開しにくい事情もあるため、もしご興味を持っていただいた場合には、お手数ですが【こちら】よりご連絡いただき、お話させていただければ幸いです。
みなさまは「能力テスト」をどのように活用されていますか?ぜひご意見いただけますと嬉しいです。
※執筆者:塚本鋭
東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所にコンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。