アッテル分析ブログ

経営(ヒト・モノ・カネ)に関して定量的な分析を発信する 株式会社アッテルのブログ

高評価者は「メンバー」と「管理職」でどれだけ異なるか?

 

今回は、
AI×適性検査で「入社後評価」をどれだけ予測できるか? 」(2000人規模の場合)
における分析の詳細解説記事です。

 ※関連記事は「適性検査の未来予測は再現性があるのか?(まとめ)」よりご覧ください。

 

 

「属性」によって「ハイパフォーマー」の条件は異なるか?

 

適性検査による入社後評価予測には、「属性」は関係しますか?

「管理職」と「メンバー」や、「営業」と「エンジニア」では、ハイパフォーマーの性格特性に違いがあることが多いです。

弊社ではどのような人がハイパフォーマーになりやすいのでしょう?

それでは「等級」ごとの高評価者の具体的な条件を見てみましょう。

 

前回記事では、「適性検査」×「等級」のデータを用いて「入社後評価」を予測することで、約5割の入社後評価を予測できることがわかりました。

 

今回の記事では、具体的に
それぞれの「等級」において、どのようなタイプの人が、活躍するのか?
の詳細を分析してみたいと思います。

 

 

適性検査結果の平均を集計する

まずは、企業全体における「高評価者」と「低評価者」の「適性検査結果」の違いをみてみます。以下は「評価」ごとに「適性検査」の結果を集計したデータです。

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 上記のグラフより
・会社全体では「関係構築」「サポート」の平均スコアが高い(青丸
・一方、「高評価者」と「低評価者」の違いは「実行力」「変化」(赤丸
ということがわかります。

この結果は、
会社全体の傾向(=カルチャー)に合う人が、必ずしも高評価になるとは限らない
ことを示唆している興味深い結果かなと感じます。 

 

 

「等級」ごとに適性検査結果の平均を集計する

 次に、「等級」ごとに「評価」と「適性検査」の関係性がどのようにわかるのかを見てみます。「等級」は「ジュニア層」「メンバー層」「リーダー層」「マネージャー層」の4段階に分類しています。

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グラフより、高評価者の特徴(赤丸)として
ジュニア層では「対応力」「変化」が高い
メンバー層では特徴があまりない
リーダー層では「実行力」「関係構築」が高い
マネージャー層では「実行力」「変化」が高い ※「サポート」が高すぎない
と、等級ごとに少しずつ異なる特徴が出ていることがわかります。

 

結論として
「等級」によって、評価を受けやすい性格特徴が異なる
ということがわかりました。

 

 

「等級」ごとに適性検査×機械学習で特徴を抽出する

 最後に、機械学習でより詳細な等級ごとの特徴を見てみます。
機械学習の結果は複雑なので、特徴的な部分のみを抽出します。

 

ジュニア層
・正解率が50%以上になる性格特徴はない

 メンバー層
・「人当たりの良さ」と「情報伝達」が高いと高評価確率68%
・「個々の価値を重視」が高いと低評価確率58%

リーダー層
・「結果思考」が高く「人当たりの良さ」が高いと「高評価確率45%
・「結果思考」は低いが「実行力」が高いと「高評価確率56%

 マネージャー層
・「自己評価」が高いと「高評価確率61%

 

この機械学習の結果を解釈すると
・「ジュニア層」(入社直後の若手)は、性格特徴による評価の差はあまりない
・「メンバー層」になると、周囲の人(上司)と良好な関係を築けると高評価
・「リーダー層」になると、「結果」や「実行」が求められる
・「マネージャー層」は、自分の成果に自信を持てる(周りに伝えられる)と高評価
といえるのかなと感じます。

 

※この結果は、先ほどの「平均を集計」した場合の結果と一部違う部分があります。
・単純平均の結果は「1つの人材タイプしか想定していない」前提
であるため、注意する必要があることが示唆されている結果だと考えます。(機械学習は複数の人材タイプを想定して計算できるメリットがあります。)

 

 

まとめ

 今回の企業では、
・等級によって、評価を受けやすい性格特性が異なる
・「メンバー層」は「上司との関係性」が高評価につながりやすい
・「リーダー層」は「結果思考」、「マネージャー層」は「自己評価の高さ」が求められる
という結果を得ることができました。

 

企業により、違いがある部分ではありますが、今回の結果は
「高評価」の「メンバー」が、必ずしも「リーダー」「マネージャー」で評価されない
ことの一因が表れているのかなとも感じました。
(役割の変化に応じて、資質が変わっていくのかもしれません。)

 

みなさまの企業では、求められる特徴の可視化をどのように行われていらっしゃいますか?ぜひご意見を伺えれば幸いです。

 

 

※執筆者:塚本鋭

 東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所コンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。